学校長×住谷先生
スペシャル対談

  • 追手門学院中・高等学校 / 学校長
    木内 淳詞
  • 教員
    住谷 研

今日は校長対談の第3弾ということで、教員生活41年目を迎えられたベテラン教員である住谷先生にお話を伺います。私も40年目になりますが、振り返ると、この学校の歴史をここまで長く見てきた教員も少なくなりました。まずは少し原点のお話から伺いたいと思います。先生は、どうして教員という道を選ばれたのでしょうか。

実は、最初から教師を目指していたわけではないんです。大学4年生になって進路を考えたとき、「人と競争するより、人と関わる仕事がしたい」と思ったんですね。

それなら教育かなと考え、教育実習へ行くために一年留年までしました(笑)。その結果、ご縁があって追手門学院へ入職することになりました。今振り返ると、「教師になった」というより、「追手門だったから続けられた」という気持ちの方が強いですね。当時から追手門は、勉強だけではなく、人との関わりを本当に大切にする学校でした。生徒と一緒になって悩み、一緒に笑い、一緒に青春できる。そんな学校だったからこそ、40年近く教壇に立ち続けられたのだと思います。

私も実は、似たようなものです。私は文学部でフランス文学を学んでいましたが、企業で働くことより、人との関わりを仕事にしたいという思いがありました。追手門学院との出会いも偶然でしたが、入学式で学院歌を聞いたときの衝撃は今でも覚えています。

「民主主義」「文化」「平和」。戦後に生まれた学校らしい理念が、学院歌に込められていました。そして何より、この学校には若い教員の挑戦を受け止めてくれる先輩方がいました。自由にやらせてもらえる文化があったからこそ、私自身もここまで続けてこられたのだと思います。しかし、40年も教壇に立っていると、生徒もずいぶん変わりましたよね。

本当に変わりました。昔は、やんちゃな生徒もたくさんいました。先生が毎日のように生徒とぶつかり、修学旅行では夜遅くまでホームルームを続けるような時代でした。今思えば、当時から毎日プロジェクト型の学習に取り組んでいるようなものでした。正解のない問いに向き合い、解決策を生徒と共に導き出していくホームルームや集会は苦労の連続でしたが、それが追手門の教師としての肥やしになったとつくづく思います。それに、卒業生に会うと、そういう時間が一番思い出に残っていると言ってくれるんですね。人と本気で向き合った経験は、大人になっても忘れないものなんですね。

一方で、今の生徒は本当に素直です。昔のような生徒指導はほとんどなくなりました。その代わり、人間関係づくりが苦手だったり、自分から一歩踏み出すことに不安を感じたりする生徒は増えたように思います。社会全体に言えることですが、「与えられること」が当たり前になってきた影響もあるでしょう。だからこそ、学校は答えを与える場所ではなく、自分で考え、自分で選び、自分で動く経験を積める場所でありたいと思っています。反面、ずっと変わらない『追手門らしさ』もあるように感じます。先生は何だと思われますか。

人と人とのつながりですね。生徒同士の関係性もそうですし、生徒と教員との関わり方も追手門らしさだと思っています。そして行事に対する向き合い方です。文化祭でも体育祭でも、「みんなで何かをつくりたい」という気持ちは今も昔も変わりません。学校も、それを応援してくれる。追手門には、そんな文化があります。根幹に流れる想いは変わらないように感じます。

私も同じことを感じています。昔ほど家庭訪問をする時代ではありませんが、それでも生徒と関わろうとする教員は多い。少しおせっかいなくらいが、追手門らしいのかもしれません。そして、生徒たちも本当に優しい。友達を思いやり、仲間を支えようとする文化は、この学校の大きな魅力だと思っています。こうした空気は、数字では表せません。だからこそ学校説明会でも、「偏差値だけでは測れない学校の良さ」をお伝えしたいと考えています。

最後に、これからの追手門学院に期待することを聞かせてください。

この学校の魅力は、人との関わりの大切さを学べるところにあります。中学・高校と人生の中で最も成長曲線が大きく最も多感な6年間で、今しかできないことをこの学校で経験してください。勉強だけではなく、クラブ活動も、学校行事も、友達とのつながりやみんなで何かをやり遂げた後の充実感・達成感・感動は、この時期にしか味わえないものです。その気持ちは、必死になって、一生懸命やればやるほど大きく、必ずその後のあなたの人生の糧となります。ぜひ、この追手門学院中高で、一生の友達と巡り合い、一生の思い出をつくってください。そのすべてが人生の財産になります。

追手門には、それを経験できる環境があります。これからも、その文化だけは受け継いでいってほしいですね。

私も、若い先生方にはぜひ教育を楽しんでほしいと思っています。

「正しさは伝わらない、楽しさはうつる。」

私が大切にしている言葉です。先生たち自身が学ぶことを楽しみ、生徒たちと向き合うことを楽しむ。教育を楽しむ姿は、必ず生徒たちにも伝わります。教育は決して楽な仕事ではありません。それでも、学ぶことの面白さ、人と関わることの楽しさを大人が体現して行くことが大切だと思います。それが、追手門学院らしい教育を未来へつないでいく力になると信じています。