生徒指導部教員
本校では、卒業式の美装を生徒が担当するという文化があります。厳粛な式典の後に、生徒たちが制作した美装で先輩たちを送り出す伝統的な演出です。長く続くこの伝統は、後輩たちが先輩たちへの感謝を込めて準備する「もう一つの式」として親しまれています。
それを取りまとめているのが、実行部と呼ばれる委員会です。実行部の基本は、文化祭と体育祭の2つの部門に分かれて構成され、その2つの行事が終わった後、実行部の有志と一般参加の生徒で卒業式の美装を担当していきます。今回は、1年の時から連続で卒業式美装に参加してくれている実行部の2人に来てもらいました。
実行部生徒(二人)
よろしくお願いします。ちょうど私たちは、それぞれ文化祭と体育祭という違う部門を担当しています。なので、通常の実行部の活動ではそんなに顔を合わせることはないのですが、卒業式の美装は去年から2年連続参加しています。そのおかげで、コースも委員会の普段の活動も違う二人ですが、仲良くなれました。
生徒指導部教員
参加しようと思ったきっかけは何かありますか?

実行部生徒1
最初は友達が参加していたことで興味を持ちました。お世話になった先輩方に少しでも目に見える形で恩返ししたいと思い、参加しました。伝統的な行事に関われることは思っていた以上に楽しかったです。
実行部生徒2
私はもともと人見知りする性格で、それを高校で変えたいと思っていました。実行部の体験入部で話した先輩がとても気さくでコミュニケーションも取りやすく、先輩に憧れて実行部に入りました。卒業式美装は、昨年の経験も活かして後輩を引っ張っていければいいなと思って参加を決めました。
生徒指導部教員
では、実際に実行部が制作する美装の内容を教えてください。
実行部生徒(二人)
テープカーテン、横断幕、校内装飾の3つに分かれて作業をしました。

生徒指導部教員
二人が担当していた美装について活動内容を教えてください。
実行部生徒1
私は、追手門の伝統であるテープカーテンを担当していました。
テープカーテンは文字と絵の組み合わせで構成するのですが、まずはたくさんデザイン案を出すことから始まり、年内にはデザインを決定します。今回は、パレットの形をした校舎から「自分たちの色を出していく」という想いを込めて「十人十色」の言葉とパレットの絵に決まりました。デザインが決まると次は、パソコンで図面に起こす作業に移ります。エクセルのデータに色ごとに全部数字を割り振っていくのですが、ここが一番の難所です。デザイン画に丸みやアーチが多いと、すごく難しくなってしまうので、絵もそれを意識した上で決めていきましたが、パレットの丸みの再現とレインボーのように多彩な色を綺麗にまとめるのには苦労しました。

実行部生徒2
私は横断幕の制作をしました。テープカーテンの両サイドに垂らすので、コンセプトを統一してリンクするように相談しながら決めていきました。1年生にメッセージとデザインを決めてもらいました。今年は「自分の色を 愛せる人へ」というメッセージとカラフルな色とりどりのお花のデザインになりました。スクリーンで投射してチョークやチャコペンで下絵を描き、ペンキで制作していきます。実際に体育館に飾ると小さく見えますが、1×2m以上はあるので、着彩にも時間がかかります。
そして、校内装飾は階段アートとホワイトボードアートと体育館までの通路と教室の装飾です。これは、最後は皆で協力して仕上げていきました。

生徒指導部教員
当初は40人程集まって、「順調にいけそうです!」なんて聞いていたものが、蓋を開けると兼部している生徒が多いこともあり、一部の生徒しか集まれておらず、「先生、もうテープカーテン、間に合いません!」という嘆きを聞いたのが2月。そこから昼休みに全員集合をかけてミーティングを持ち、在校生にもお手伝いを呼びかけ、そこからの結束力はすごかったよね。バタバタ奔走しながらも何とか卒業式に間に合いました。活動を終えてどんな気持ちですか?
実行部生徒2
先生と関わる機会も多かったので、コミュニケーションをとっていく機会が増えるにつれて慣れていったように思います。終わる頃には、人と関わるのが楽しいと思えるようになっていました。企画もいっぱい出すので、プレゼン能力も鍛えられた気がします。経験したことが自信になったと思います。
実行部生徒1
やり切った達成感はもの凄くあります。先輩たちに喜んでもらえるのも嬉しいですし。それから仲間の大切さも痛感しました。実行部っていう一つのきっかけがあって、皆で同じものに対して取り組んで友達が増えるのは、やってみて良かったなと思います。コースが違う子や学年が違っても仲良くなれることがすごく良いですよね。

生徒指導部教員
本校では主体性をすごく大事にしていますが、卒業式美装の実行部は、本当にそれを体現していると思います。卒業式という失敗できない場面で、一発勝負の美装発表に挑むのは正直心臓バクバクです。私が見に行った2回のシュミレーションでは失敗し、本番は3度目の正直で成功を収めました。でも、そういう舞台を経験するのがとても大事だと思っています。自分たちで選んで主体的に参加して、それで失敗した、成功した、というのも生徒たち次第ですし、教員もそうですけど、その経験で得られることが一番大きいなっていう風に感じています。挑戦・冒険の機会というのが、個人的には自分の教育理念とも合っていると思います。今後も生徒たち主体で、この伝統を受け継いでいって欲しいです。


