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2021.12.21UP

【そーちゃんのヒトリゴト #1】Contribution編

髙木草太 探究デザイナー

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連載に向けて

皆様こんにちは。追手門学院中学校高等学校の探究デザイナー、髙木草太です。
今回、探究科全員でコラムを連載しようという企画が立ち上がり、自分はどんな内容が書けるかを真剣に検討しました。その過程で自分の人生を省みると柱として常にあったのが「アイデンティティ」と「多様性」のバランスでした。異文化圏で生活をする期間が長く、またキリスト教圏やイスラム圏などを転々とした結果、気づけば「多様性の中でのアイデンティティ形成」を自分の強みと感じられるようになりました。

そこで今回の企画の中ではそういった自分なりの解釈のグローバルなマインドセットについて書こうと思います。内容は皆様にとっては当たり前と感じるかもしれませんが、頭で理解したと感じることと体感することには大きな隔たりがあると私は考えていて、皆様が体感をしていくための行動をどんどん起こしていただけたら幸いです。今回のトピックは「貢献」の解釈です。

私は兵庫県の六甲アイランドにあるCanadian Academyというインターナショナルスクールを卒業しました。様々な国の出身者が学年にいる母校の慣習で卒業式はそれぞれの国の民族衣装を着るというものがありました。余談ですが、当時の私は自分のアイデンティティを「日本」に求めていて迷いなく紋付袴を着ました。が、スリランカ出身でスーツを着る同級生やアメリカ出身で和服を着る同級生など、それぞれが所属意識を持つ文化はまさしく「多様」でそれが私にとっての当たり前でした。今思うととても幸せなことですし、日本に再帰国をして就職をしたときに感じた「外の人」というポジションにすぐに適応できたのもこの時の経験が生きているのかな、と感じます。

卒業式の写真

記憶に残った言葉

さて、今回のメインの話は私の尊敬する師であるTOK担当の先生の卒業生に送る言葉のスピーチ内容です。この人に出会わなければ教師になっていないと言い切れる素晴らしい先生です。ちなみに当時の私は教師になることに全然興味がなかったのですが、この先生のくれた教材だけはすべて残してあり、20年が経つ今でも参考にしています。

肝心のスピーチの内容ですが、このように記憶しています。
「卒業するあなたたちに私が願うことは何かと考えます。成功?もちろん成功して欲しいと思いますが、ただお金と名声を得るだけでは意味がないと考えます。幸せ?幸せになって欲しいとも思っていますが、それだけでは自分や直近の人にしか影響がないです。貢献。そう、私はあなたたちに社会に対して貢献をしてほしいと思っています。世界に対してポジティブなインパクトを残して欲しい。」 

まあ、ざっくりこんな感じだったと思うのですが、当時の私はあまり納得をしていなかったと思います。要は、貢献とは自己犠牲だと捉えていたのですね。成功や幸せを度外視してでも社会にお返しをするべき。そう捉えたら貢献という言葉が腑に落ちなかったのも仕方がなかったのかもしれません。 

スピーチ中の先生の写真

貢献って何だろう

私は度々この言葉を思い返していました。そして、大学に進学し、世界をさらに広くみたときに違う解釈に辿り着きました。成功をして、幸せになって、その余裕で貢献をする、と。そこに辿り着いたのであれば社会に還元するのが義務だろうと考えたのです。しかし、その頃の私は成功をすることに興味がなく、貢献意識も芽生えませんでした。むしろ、貢献をする前になりふり構わず他者を犠牲にしてから貢献に意識を向けてもプラマイゼロじゃない?とか考えていました。ひねくれたガキの発想ですね。 

そして、自分が就職をするタイミングになり、何がやりたいかもわからず燻っていたときに私が自然と足を運び、話を聞きに行ったのがこのスピーチをくれた先生でした。他愛もない話をして家に帰ったときに心が軽くなっていたことに気がつきました。私が教育を追求するようになったのはそこからです。以来、幸運なことに一度も自分のしていることに疑問を持ったことはありません。

今思うと、先生は一度も私たちに貢献を義務と提示したことはありませんでした。ただ、ひたすらに私たちには社会に貢献できる力があると無条件で信じ続けてくれていました。できる、だから貢献。今日、教育のフィールドで走り続けて感じることは、貢献をすることが私に幸せを与えてくれていて、貢献をすることが私に成功実感をもたらしてくれるということです。本当の意味で自分がエンパワーされるとき、それは自分が「貢献」をしていると感じられるときです。もしかしたら先生は高校を卒業する私たちにそれを伝えたかったのかもしれない。しらんけど。 

さて、
What will you contribute to the world?

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