TEACHER

2020.12.21UP

【教師コラム】地球って、どんな形?

上月龍太郎 探究科

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“らしい”が“だった”に変わる瞬間

突然ですが質問です。地球はどんな形をしているでしょう。…もちろん球体です。正確には楕円体です。もう少し正確に言えば、楕円体“らしい”です。

2019年10月、私は生徒2名と共に高知県の室戸岬にて、生徒が立てた「宇宙に行く」という目標を達成しようとしていました。生徒が自ら徳島大学に協力を依頼し、生徒が作った“船”をスペースバルーンというもので飛ばし、成層圏の映像を収めるのです。高度によって変化する風をすべて計算し、高知県で飛ばして、和歌山付近で着水、待ち受ける残りの3人のチームメイトが動画を回収します。午前11時、最終確認を念入りに済まし、大空にオレンジ色のスペースバルーンを放球したときの、生徒の表情は忘れられません。そして、約4時間後、チームメイトから送られてきた動画の一部を確認した瞬間、“らしい”が“だった”に変わったのです。

学校に行けば様々なことを教わります。その中で少なからず自分にとって興味深いこともあるはずですが、それを実際に深く掘り下げたり、真偽を確かめたり、活用してみたりといった、知識を得るだけではない、本当に楽しく実践的なことはなかなか行われません。これは、ただただそんな暇がないからだと思います。中高生は忙しいです。勉強、部活、受験、遊び…毎日が一瞬で過ぎていきます。だからこそ、「探究」という時間をあえて捻出する必要があると思います。

乗船したのは、我らが木内校長(の、似顔絵)

掘り下げれば出会える面白さ。

話は変わりますが私自身、今年から探究科の先生という未知なる職業につきまして、(まだ数学の教員であることもやめてはいません)期待と不安で胸を弾ませていたのですが、コロナの影響で残念ながら探究科としての初陣が延期となってしまいました。一方で自分の時間も増えたことと、探究科としての自覚の芽生えとから、大量の本を買い込み、中には今までの自分なら手に取らないようなものに対しても手を伸ばし、この期間を充実させています。

その中の1冊に『翻訳できない世界のことば』という本があります。カラフルなハードカバーにかわいいフォントでタイトルが書かれているところに魅かれて買いました。いわゆるジャケ買いです。内容はまさに翻訳できない世界のことばがのっています。例えば、ポロンクセマ(poronkusema)。フィンランド語で、トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離のことらしいです。確かに、日本語にはそんなことばはありません。不思議なことに、トナカイがのんびりと歩いている草原の風景や、かなり適当な距離感覚さからうかがえるフィンランドの人々の大らかさが、この言葉を聴くだけで想像できてしまいます。言葉って凄いですね。

日本語ものっていました。「ボケっと」です。なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち、と説明がありました。フィンランドの人にとってのトナカイのように、日本人にとって何も考えないことはとても大切なのかもしれません。そう考えると、自粛ムードの中のこの期間でさえ、暇なときはテレビやスマホを見ていますし、なかなか「ボケっと」していないことに気づきました。色々忙しくなりそうな今年一年、ボケっと乗り越えようと思います。みなさんも、いったん読むのをやめてボケっとしてみてください、なんだか忘れていた感覚ですよ。

新しいことを始めると、沢山の新しいことを学ぶことができ、気づきがあります。普段何気なく使っていることば一つとっても、掘り下げればこんなに面白いのです。そんな、私が今感じているこの感覚を生徒と共有したいと思います。

次第に見えなくなっていくバルーンに、彼ら・彼女たちは何を思った?

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