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教頭 辻本義広

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TEACHER

2021.11.10UP

多様性の時代に相応しい教育で、子どもたちに選択肢を与えたい。

PROFILE

辻本義広 教頭

  • 出身

    大阪府高槻市

  • お気に入り

    お取り寄せ・ガリガリ君

  • 授業でもっとも大切にしていること

    生徒の学ぶ機会を阻害しない

Theme1

『大人の修学旅行』で見えた光。
偏差値教育に変わる新しい価値観の軸を。

私は数学の教師としてキャリアをスタートさせ、初めの10年くらいは、いわゆる偏差値教育のド真ん中で「志望校に合格させる」という目的のもと、生徒たちにガリガリと勉強をさせていました。しかしその結果として、生徒はかなり疲弊し、いわゆる“主体的な学び”とはほど遠く、彼ら・彼女たちにとって幸せな学校生活でないことが明らかになっていきます。ちょうどその時、自分の娘も受験を迎えていて「彼女を自分が教えている学校に入学させたいか」と考えると、どうしてもそうは思えない。「自分の子どもに受けさせたくない授業を、他人の子どもになら受けさせていいのか?」とか「このままでは生徒を潰してしまうのでは……」などと考えるようになり、自分の教育スタイルに疑問を持ち始めます。とはいえ、どうしたらいいか答えは出ません。そこで自分の中で『大人の修学旅行』と銘打ち、日本各地の先生に話を聞くための旅に出ることにしました。

まず三重県にいる先生から聞いた「生徒たちは生活の大半を学校で過ごすのだから、授業の中でキャリア教育をすべきだ」という話に感銘を受けます。またタイミングよく同じ時期に『アクティブラーニング』という学び方が流行りはじめ、その第一人者である小林昭文先生の授業を実際に受けさせてもらいました。さらにその頃は『総合的な学習の時間』の授業をどのように進めていくかを迷っている時期でもあって、それを模索する中で『クエストエデュケーションプログラム』を知り、それを提供している企業の方から「一緒にやっていきましょう」とお誘いを受けます。それは企業からミッションをもらい、高校生なりの解決策を探り、提案するといった授業内容でした。私は自分の学校に戻った後、『大人の修学旅行』の中で得られたそれらのプログラムを、例の疲弊し切った生徒たちに対して実践してみます。すると生徒たちは、笑顔と達成感に満ちた表情で「疲れたー!」と言ってくれたんです。それは、受験に向けてガリガリと知識を詰め込むだけの授業をさせた後の「疲れた」とは明らかに違うものでした。

そんな経緯もあり、当時、追手門学院に新しい学びを導入させるべく、『学習推進部長』というポジションについていた私は、熊本大学教育学部の准教授である苫野一徳先生の『学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合』や、協同的な学びの重要な契機となる『アクティブラーニング型授業』を取り入れ、さらに学校全体の方針として、教育活動の中心に『探究的な学び』を位置づけるべく舵を切りたいと思い始めました。しかしその必要性や有効性に気づいていない教員や、保護者の方々に理解してもらうことは難しいと判断します。特に『探究的な学び』については、学校全体で取り組んでいくのが困難な状況がありました。そこで1年目は『学習推進部』の中に、探究の授業を企画するチームをつくるところまでを進め、その翌年には英語や数学などと同じように『探究』を教科化して、実際の授業を開始。また2022年度からは、さまざまな経験を通して幅広い選択肢を与え、その中から「自信が持てる自分なりの幸せや生き方を実現してほしい」という想いで、『探究プロジェクト型の学び』を軸とする『創造コース』という新コースもスタートさせることとなりました。ここまでは最初に描いた構想どおりに進んでいます。この方向で結果を出すことで、偏差値教育に変わる新しい価値観の軸となるものを作っていきたいですね。

なぜなら偏差値による評価や序列のみが重んじられ、生徒たちがその犠牲になってしまっているのが教育の現状です。そんな中で、学校や教員の役割、そして存在意義が問われているように感じます。もちろん私のような考え方は少数派であり、全体的に偏差値を重視する先生方が圧倒的に多いので、理解してもらうには十分な時間と対話が必要なのかもしれません。でも大阪にひとつくらい、そういう学校があってもいいですよね? というのも、今はどの学校も「多様性」を謳っているにもかかわらず、同調圧力みたいなものがあるのか、授業や行事など、結局いつまでたっても画一的なことには違和感を覚えます。別に世の中のすべての学校を変えたい訳ではなく、従来のままの学校があっても構いません。私は子どもたちに「学び方の選択肢」を与えたいだけなんですよ。

偏差値教育に変わる
新しい価値観の軸をつくり、
学びの選択肢を与えたい。

Theme2

『勉強』から『学習』へ、さらに「なぜ?」を
深堀りする『学問』へと変えていく。

コロナ禍の中で改めて痛感したことがあります。それは知識を習得するだけの授業であれば、YOUTUBEや学習用のアプリで何の問題ないということ。よく「近い将来、高校教師はなくなる職業だ」と言われますが、確かにそれも否定できません。その上で今こそ、学校が担うべき役割、そして学校の存在価値とは何なのかをきちんと考える必要があります。やはり学校とは、生徒たち自身の興味関心への深掘りや、集団生活の中でのマナーを含めた意識向上、社会人スキルなどを磨くための場所であるべきで、つまり“勉強をする場”ではなくて“学ぶ場”でなくてはいけません。少し言い方を変えると、学校というのは、“生徒が学ぶスペース”であるべきで、“先生が教えるスペース”であってはならないはずです。しかしそういったあるべき姿と現状とは明らかに異なっています。

実は同じような違和感を「大人の修学旅行」をやっていた頃にも抱いていました。ちょうど自分の娘が幼稚園に通っていた頃で、彼女は何かあるたびに「これ、なんで?」と聞いてきます。当時は仕事から帰って疲れている状態にもかかわらず連発される「パパ、これ、なんで?」に、正直うっとうしさを感じていました(笑)。しかし探究の授業を持ち始めて、この「なぜ?」を持ち続けることこそが本来的な『学問』なんだと気づきます。そして我々教師がすべきことは、周りから言われて行う『勉強』から、自分で学ぼうとする『学習』へと変換させて、さらに「なぜ?」を深掘りしていく『学問』へと変えていくことに他なりません。ただ本来これは子どもの成長から考えると、逆を辿っているんですよね。私の娘もそうだったように、小さな子どもたちは無意識のうちに『学問』をしています。でもいつの頃からか「これ、なんで?」を言わなくなってしまう。つまり我々教育者のせいで、もともと『学問』をしていた子どもたちを、無理に強いられる『勉強』へと逆行させてしまっているのではないか。そんな罪悪感にも似た感覚を覚えたわけです。だからこそ探究の授業では、生徒たちの「なぜ?」を維持していきたいと強く願っています。

私は2020年度より管理職である教頭になりました。これは一般の会社で言えば昇格にあたる人事ですが、そもそもほとんどの教師はあまり出世意欲を持っていないと思います。やはり生徒といちばん近い現場にいて、授業をしたり、担任をしたりしたいと思っている人が多いのがその理由です。私も同じで、本当は現場で生徒たちの近くにいたいのですが、私立の学校にいる限り、人事命令にはある程度従わざるを得ません。そんなモヤモヤを抱きながら、池谷先生や髙木先生をはじめとする探究科の先生方とチームを組み、授業をした時に「この先生たちには絶対に敵わない」「授業を進める上での発想が自分にはないものばかり」など、さまざまな衝撃を受け、ある種の踏ん切りがつきました(笑)。それくらい彼ら・彼女たちの能力は突出しており、今は私が描いた構想や大切にしてきた理念の部分を、自然と現場で実践し、形にしてくれています。これは私一人だけでは絶対に達成することができないもの。だからこそ彼ら彼女らとの探究チームの先生たちとの出会いやつながりは、大切にしていきたいものです。だから私はここから立場的にもマネジメントに徹し、学校として彼らをサポートしていくつもりです。もちろんすべてを実現するにはまだ時間がかかるし、まだ時代が追いついていない感もあります。まずは来年立ち上げる『創造コース』にきちんと生徒を集め、成功へと導くのが、私に課せられた次の使命ですね。

学校は生徒が学ぶスペース。
先生が教えるスペースで
あってはならない。

PAST 過去

何を持っているのでしょう? 恥ずかしがりやで、全面にでて人前で何かをするのが苦手。大人になった今もですが……。小さい頃の夢はバスの運転手さんでした。興味関心があることは、とことん追究し、そうでないものに関しては、いかにしないで済むかを考えていました。これも今もですが……。

PRESENT 現在

2021.06.11

FUTURE 未来

10年後・20年後の自分? 社会? 全く想像がつきません。ただ願いとしては、drasticに教育改革に取り組んでいたい! それを進めた結果、勉強する場から『学び場』へ、そして「学び場」=「遊び場」となる学校が増えていてほしい! 常に子どもの幸せを考え願い、その後押しをしていたい!

FAVORITES

世界を広げてくれた方との出会いを誇りに

教育に疑問を持ち始めて8年、この間私にとっての一番の財産は、「様々な方との出会い」。めぐり逢えたことで、私の教育観が激変。中でもO-DRIVEの先生方との出会いは、それを更に具現化し進化させてくれました。今まで出会った方々、私を支えてくれた家族に心からありがとうを言いたいです!

MY ITEM

気づけばいつもそばにあるもの

いまとなっては、私にとって無くてはならない必需品。楽しいとき、うれしいとき、ほっとしたとき、考え込んでいるとき、落ち込んだとき、家族と一緒にいるとき、どんなときもそばにある嗜好品。

VOICE

01

教育業界のココを変えたい!

学校を「勉強する場」から「学ぶ場」=「遊ぶ場」と転換し、子どもたちが、様々な場所で多様な「学び場」で学問できるように変えていきたい。

02

追手門学院中・高等学校にコレを導入したい!

唯一無二の学び場

03

生徒や保護者のみなさまに言いたい!

現代は、教育界における歴史の転換期です! 一緒に歴史の1ページを創っていきましょう!

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