校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2022.05.27

卒業生との出会いなおし

 高校51期の卒業生が、学校を訪問してくれました。51期生と言っても、学外の方には全くピンとこないと思いますが、私たちにとっては、「旧制服最後の学年」ということで、とても印象に残っています。両サイドに並んだ教頭、主幹教諭と私の3人ともが共通して関わった卒業生で、高校時代と変わらず鍛えられた体に、精悍なマスク(感染予防のマスクではありません)、仕事についてもかなり充実しているようで、まさに「独立自彊・社会有為」の教育理念を体現する人物へと成長しておられる様子でした。
 学校の教育の成果を何で評価するのか、というのは難しい問題です。大学の合格実績というのは一つの指標とはなるのでしょうが、それは成果というものの一部でしかなく、すべての学校や生徒の評価がそれのみによってなされるとすると、長らく中等教育に関わってきた私からすると、大きな違和感を覚えます。また、高校卒業後のその人の成長を、すべて大学や所属している組織のおかげと考えるのも、いささか乱暴な気がします。大学への合格だって、まずは本人の頑張りがあり、保護者の方や友達、周りの方々の支えがあってのことでしょうし、塾や予備校の先生のおかげもあるでしょうし、高校の先生方のかかわりもあるでしょう。ある人が「私は私と私の環境である」と言ったように、人が成長していくときには、環境という偶然の要素もあり、また、個人の努力の要素もあり、何か単一の要素で成長することはありません。したがって、教育の成果を問う時にも、もっと複雑な物差しを持たねばならないと思います。
 今日の卒業生との「出会いなおし」で、教育についてあらためて考えることが多い一日となりました。念のため記しておきますが、彼は大学進学についても希望をかなえています。