校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2022.03.04

『知の体力』

 京都大学名誉教授の永田和宏先生の本です。
 書店でも平積みにされていることが多くなりました。どうやら、中学・高校・大学入試でこの本から問題が出されることが多いというのが原因の一つのようです。確かに読んでみると、学校が入試問題に採用したくなるのがわかるような気がします。「知」というものに対する先生の向き合い方がしっかりと示されており、今後の中・高における学びのあり方にもつながる示唆に富んだ本でした。知の体力が何を意味するのかは、この本を直接読んでいただきたく思います。そのテーマに至るまでの部分にも、興味深いことがいろいろと書かれていましたので、少しだけ引用しておきます。

『知の体力』永田和宏  新潮新書

 いまから50年ほど前、私が京都大学に入学したとき、時の総長、奥田東先生の入学式の祝辞には度肝を抜かれた。奥田総長曰く「京都大学は、諸君に何も教えません」。そのあとどう続いたのか、ほとんど忘れてしまった。「諸君が自分で求めようとしなければ、大学では何も得られない」、たぶんそんな風に展開したのではなかろうか。


 読書によって、あるいは学ぶということによって、確かに新しい知識が自分のものとなる。しかし読書や学問をすることの<意味>は、端的に言って、自分がそれまで何も知らない存在であったことを初めて知る、そこに<意味>があるのだと思う。ある知識を得ることは、そんな知識も持っていなかった<私>を新たに発見することなのだ。

 本校の考える学びのあり方にもつながる内容だと考えています。ぜひご一読を。