校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2021.12.20

終業式、「朝のリレー」、甲子園ボウル

 本日は2学期の終業式。今回は、各教室にオンラインで映像を送りながらのライブ中継で式を進行しました。
 今日の朝の東の空があまりにもきれいだったので、私の式辞は谷川俊太郎さんの「朝のリレー」の詩から始めました。

  「朝のリレー」 谷川俊太郎
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

 とても有名なこの詩ですが、今朝の東の空を見て、ふと思い出したのでした。朝をリレーする、という発想、それをこういう柔らかな言葉で表現できること。私は詩を頻繁に読んでいるわけではありませんが、何か心を動かされることがあったり、美しい景色を見たりしたときに、なぜか昔読んだ詩を思い出したり、逆に、詩を読んだときに、昔のある場面や場所のことを思い出したりすることがよくあります。今日は朝からそんな気持ちでした。「朝」というものが、国境を越えて次々にリレーされていく、私の大切な人々と、あるいはまだ会ったこともない人々と、この綺麗な空でつながっていると思うだけで、何となく元気になります。
 そして、昨日の甲子園ボウル。大学のアメリカンフットボールのチャンピオンを決める試合で、西日本代表の関西学院大学ファイターズが法政大学オレンジに勝利しました。本日の毎日新聞に、本校の卒業生で、ファイターズのキャプテン、青木勇輝さんの記事が掲載されています。彼は、大学1年の時に、上級生のケガで初めて試合に先発することが決まった時、プレッシャーを感じていると、マネジャーから声をかけられ、不安が和らいだ経験をしたそうです。その経験から、試合前に後輩たちに声をかけるようにしているそうですが、「50人超いる4年生が3人ずつに声をかければ150人に伝わる」と考えて、下級生がのびのびプレーできる環境づくりを心掛けたそうです。「声かけのリレー」ですね。私が今朝感じたことが谷川さんお「朝のリレー」につながり、それが卒業生の言葉・行動につながり、在校生の心に伝われば、また何人もの人にリレーがつながったことになります。その次には、どういうリレーがつながるのか、楽しみにしています。