校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2021.10.11

学校選びとそのポイント

 10月がスタートし、中学・高校の入試まで、あと3か月・4か月となりました。8月に入った段階では、中学受験まであと5か月、高校受験まではまだ半年ありますからね、などとお話ししていたのですが、残り3・4か月となるとさすがに正念場ですね。今年は9・10月の日中の気温が高く、秋が深まっていくという実感が薄いので、特に時間の流れが遅く感じられるのかもしれませんが、確実に時間は過ぎていきます。
 さて、AERA 2021年8月16日-8月29日合併号に、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏のインタビュー記事が掲載されていました。私も共感するところがあり、特に保護者の皆さまにはお目通しいただければと思います。中学受験をテーマとして扱っておられますが、高校受験にも通ずるところがあります。

 
 特に私立の場合は、学校自体に受け継がれている文化があり、その文化を吸収できることの意味が大きいように思います。…私立学校は理念をベースに教育が行われており、先輩から後輩へと受け継がれているものがあります。そこで生まれる文化というのは、学校独自の“非認知能力”とも言えます。社会学の言葉でハビトゥスと言われるものですが、それぞれの学校でこの非認知能力がブレンドされ、育まれている。どの学校のブレンドを子どもに吸収させたいか、そういう視点で、学校選びを考えてほしいと思います。

…あえて言うなら、学校選びはパソコンや家電を買うようなショッピングとは違うということ。学校はコスパやスペックで選べないものです。結婚に例えるとピンとくるかもしれません。“あの人はコスパが悪いからやめておこう”などとは考えないはずです。この人とならしっくりくる、落ち着くというような総合的な感覚を大事にする。学校選びでも実はそういう感覚が大事です。

 これからの子どもたちは、地球の裏側に行っても通用する人にならなければならないと言われています。それなのに、たかだか通学可能圏内にある学校のなかで環境をえり好みしているようでは先が思いやられます。志望校に受からなかったらダメになってしまう子どもではなく、結果的にどの学校に行くことになっても頑張れる子に育てることが親として大事なのではないでしょうか。


 私も入試説明会でお話しするのですが、「誰にとってもいい学校」というものは存在しません。自分にとってのいい学校を選ぶべきです。自分に一番合った学校、その学校でなら、自分が幸せに生活ができて、成熟に向かうことができる学校を選ぶことが肝だと思います。ですから、私は説明会でも、「どうぞ他の学校にも行かれて、ご自身に合った学校を見つけてください。それが最終的に本校でなくても構いません。もちろん、それが本校であれば、とても嬉しいことです」とお話しします。お子様方をこういう文化・ハビトゥスを持つ学校に通わせたい、こういう理念を持った学校で育てたい、という観点が大事だと思います。通うのに便利なのも大切な要素なのでしょうが、何を優先させて考えるか、ということでしょう。
 中学はプレテストが行われますし、高校の方も説明会が続きます。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。