校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2020.10.06

私学人研の管理職研修

 大阪私学人権研究会の管理職研修に参加してきました。いつもは保護者の方や人権担当の先生方で部屋がいっぱいになるのですが、今年は、人数制限があり、管理職のみの研修会となりました。
 今回の講演講師は、大阪府立大学教授の東優子先生。演題は、「人権と性の多様性の尊重」でした。先生のお話しの中で私の心の中に一番残ったのが、SOGIあるいはSOGIESCのことでした。LGBTという言葉は、マスコミでもよく取り上げられ、多くの方がご存知だろうと思われます。また、行政では「性的マイノリティ(性的少数者)」という言葉を使うことが多いようです。今回の講演で私が学んだのは、次のようなことです。
 L・G・B・Tはもともと当事者が自らの尊厳を込めて使用してきた言葉であり、「誰」を可視化するものである。それに対してSOGIまたはSOGIESC(Sexual Orientation, Gender Identity, Gender Expression, Sexual Characteristics)という言葉は、「性的傾向・性的自認・ジェンダー表現・性的(生物学的・解剖学的)特徴」という意味であり、人ではなく「何」に焦点化した言葉であり、特定の人ではなく誰もが「当事者」性を持つことになる。また、「性的マイノリティ」という言葉も、少数者ということが強調され、「当事者」性を持ちにくい言葉である。
 SOGIという言葉は、この私学人研の研修などではお馴染みの言葉になっていますが、一般にはまだ広まっているとは言えないように思います。また、恥ずかしながら、私自身がその言葉の意味に対する表層的な理解にとどまっていた部分があります。東先生の講演は、私を覚醒させてくださる面が多いものでした。また、講演に使われた資料スライドの最後に、憲法学者の木村草太先生の言葉が引用されていて、これも私の心を打ちました。最後に引用しておきます。

 差別や人権問題というものは、圧倒的多数の人にとっては、なぜ困っているのかがよくわからないという性質の問題です。したがって、困っている側の主張に耳を傾け、なぜ困るのか、どれだけ困っているのかを『想像する力』を持つことが大切だと思います。