校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2020.10.02

『生きる技法』 自立とは?

『生きる技法』、書店で偶々手に取ったのが、この本でした。著者は安冨歩先生、プロフィールを見てみると、私と同じ大学の同期入学の方でした。ひょっとしたら、大学のキャンパスのどこかですれ違っていたかもしれません。なんだか変な縁を勝手に感じて少しだけ立ち読み、その後すぐに購入して読み終えてしまいました。
 この本の、根本的なテーマは、自立とは依存しないことではなく、多くの人に依存することである、というものです。この本の中の言葉は、逆説的なものが多く、すぐに飲み込みにくいのですが、自立についての「命題」としてまとめられている部分を引用しておきます。

自立について
【命題1-1】自立とは、多くの人に依存することである
【命題1】自立とは依存することだ
【命題1-2】依存する相手が増えるとき、人はより自立する
【命題1-3】依存する相手が減るとき、人はより従属する
【命題1-4】従属とは依存できないことだ
【命題1-5】助けてください、と言えたとき、あなたは自立している

 いかがでしょうか? 私は自立とか依存について生徒に話す機会が多く、自分でもよく考えるので、意外とすんなりと頭の中に入ってきました。以前に、ある人の本の中で、次のようなことを読みました。一人の人に依存すると、その人が絶対的な存在となり、その人に隷属しているということになる。ところが、多くの人に依存し、多くの人に支えられていれば、それはもはや依存という状況を超えて、まさにその状況こそを、自立というのだ。私たち教員も、もちろん、親も、子どもたちから「あなたがいないと、私は生きていけません」と言われてしまってはいけない、ということになりますね。複雑な心境になるかもしれませんが、得るところの多い本でした。