校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2020.04.21

在宅学習中の生徒の皆さんへ

今年の桜の花の季節も、そろそろ終盤を迎えています。皆さんに見てもらいたかった学校の桜も、葉桜となってきました。少し前の写真になりますが、ブログで見てあげてください。
 さて、年度当初より在宅学習の形を取らざるを得なくなり、生徒の皆さんは色々な面で、不自由で不安な生活を余儀なくされていると思います。ご家庭によっても様々な困った状況があると考えられますので、正直に申しますと、安易な励ましの言葉を書くのも憚られるような気持ちにもなるのですが、教員の一員としては、こういう困難な状況の中であっても、生徒の皆さんには何らかのメッセージを伝えたいと思います。
 
 テレビを観ていると、毎日、新型コロナウイルス感染症のニュースばかりで、気が重くなりますね。当初は、若者は感染しても重篤化しないとか、致死率もそれほど高くないから大丈夫じゃないか、とか、世の中は少し新型コロナウイルスのことを軽く見ていたように思います。しかしながら、ここ大阪でも、毎日のように新たな感染者のことが報道され、皆さんがよく知っている有名人の中にも症状が重くなったり、お亡くなりになる方もいらっしゃって、私自身も毎日自分が感染した夢を見るようになりました。個人的なことを言えば、施設に入っている母親のことも心配で、面会が禁止になっていることも気になります。感染者が、急に具合が悪くなる様子を伝えらえると、本当に他人ごとでは済ませられなくなっています。
 一方で、ある人の書いた本によると、私たち人類は、20世紀までは飢饉・疫病・戦争に苦しめられてきたが、徐々にそれらをコントロールできる力を身につけてきた、と書かれています。こんなにひどい状況なのに、本当にコントロールする力をつけてきたのだろうか、と思う部分もあるのですが、考えてみれば、私が子供の頃に予防接種を打っていた天然痘という病気は全世界の協力で撲滅宣言が出されたり、肺結核も優れた抗生剤ができて、対処できるようになったり、AIDSウイルスに感染しても、薬によって発症を抑えたりできるようになったりしました。もちろん、世界の多くの地域が食べ物の面でも豊かになり、戦争や紛争も、武力以外の面で防いだり、解決に向けて対話を重ねることが可能になってきています。確かにこれらのことは人類にとって大きな進歩だと言えるかもしれません。なかなか速く、大きく進むことは難しいかもしれませんが、私たちの先人たちのおかげで、少しずつ進歩してきたことを評価し、私たちの次の時代を生きる人たちにバトンを渡すことが私たちにとって大切な役割なのだと思います。

 テレビなどの報道を見る限り、新型コロナウイルス感染症の勢いは、なかなか簡単には収まりそうにありません。ゴールデンウイーク明けの学校再開も、見通しを立てにくい状況です。しかし、私たちの一生を考えてみても、ある程度自分の思うように時間の過ごし方をデザインできるなんていう機会は、それほどあるわけではありません。まだしばらくは今のような状況が続くものと腹を括って、自らの力を高めていくために何ができるのかを考えてみませんか? 学校の学びにおいては、オンライン学習が可能な学年の生徒たちは、それを大いに活用してください。自分のペースで学べるというのも、オンライン学習の利点です。また、講師の先生の説明がわかりにくかったら、何度でも繰り返して動画を視聴することもできます。高1の皆さんには間もなくコンピュータを渡すことができます。もう少しお待ちください。中1の皆さんには誠に申し訳ないのですが、タブレットが来るのに、まだしばらく時間を要します。ペーパーベースでの学習になってしまいますが、送られている教材で学びを進めてください。中・高生の皆さんには、特に英語や数学における基本的な知識の抜けているところを、この時間に埋めてしまうことをお勧めします。学校の授業があるときに、知識の抜けをカバーしてしまうのは大変ですが、今はそれができるチャンスです。逆に言うと、それを今やっておかないと、大学進学を希望する人にとっては、大きなマイナスになります。着実に積み重ねるしかない英語と数学については繰り返し言いますが、今がチャンスです。
 また、学校の時間割には設定されていないような学びについても考えてみてください。自らの学びを主体的に組み立てるのです。普段には読めないような分厚い本を読むことにチャレンジするのもいいでしょうし、自分で何か課題を設定して、探究的な取り組みを始めてみるのもいいでしょう。ご家庭内で、これは自分がやる、という仕事を設定してそれを続けるのもいいのではないでしょうか。人は「自由にしてもよい」と言われると、かえって「何をしたらいいだろう」と困ってしまうものです。自分の大切な時間をどのように過ごすかを主体的に考え、色々なことにチャレンジしてみてください。そのことが皆さんに力を与え、周りの人のために貢献できる人に成長するきっかけになるかもしれません。

 長文になってしまいました。私も様々なことを考え、小さなチャレンジを続けています。機会があれば、皆さんにそのことをお話ししたいと思います。学校で直接皆さんに話ができる日を楽しみにしています。