コンピューターやインターネット
身近な情報機器をツールとして活用する

  • 追手門学院中・高等学校
    情報科教員

コンピューターやインターネット
身近な情報機器をツールとして活用する

本校では、主に高校2年次に情報科の授業を受講してもらっています。普段身近に存在して当たり前になっている情報機器を「必要なツール」として認識し、活用する力を身に付けてもらうことを意識して授業を展開しています。情報の授業自体は、小中でも受けてきていると思いますので、ここでは基本的な情報処理能力を確実に定着させることを目的に授業内容を編成しています。

まずは確実なスキルの定着ということで、1学期はエクセルを用いて表計算の授業から始めます。学習指導要領の改定により、情報科にプログラミングの単元が加わったことで、そこに繋げるために「何故その計算式になるのか」というベースを理解すべく、表計算から取り組んでいます。エクセルはメイン教材ではありませんが、「コンピューターはそもそもツールである」ことを感じてもらうのに役立っています。そして2学期には、ネットワークの仕組みを座学で学びます。目に見えない裏のところでどういう動きや繋がりを持っているかを見ていきます。その後に「HTML」を使ったWEBページ制作の実習を行います。華やかなページも根本を辿ればこういった言語で作られているという理屈を学んで作品を作っていきます。そして最後にPython(パイソン)を学ぶという1年間の流れです。このように情報処理の時間を沢山確保するようにしています。

情報科のプロジェクトは
あえて個人制作の場として向き合う

プロジェクトを各教科に取り入れる前は、誰かと何をする機会が実技科目しかないため、二人1組でポスター制作をする等の取り組みを重点的にしていたのですが、「プロジェクト」導入後は、他の教科においても自ずと機会が増えたので、情報科ではあえて個人プロジェクトとし、たくさんの情報やアイディアを吸収するツールが目の前にありますので、そのパソコンの中にある世界との協働を促しています。知識や言葉をテストや暗記で覚えるのではなく、実践を通じて体感し、習得するための課題と考えています。

(生徒の)得手不得手が分かれる科目でもありますが、前のめりに「面白かった。 もう少しやりたかった。」というような言葉をくれる生徒もいます。特に作品を制作する授業内では、それまで受け身だった授業姿勢から積極的なチャレンジをしている姿が見受けられることがあります。そういった時に生徒たちの成長を感じます。他にも、自ら、分からない友達に率先して教えている姿や、放課後に作業をしたいと申し出てくる生徒、授業で教えている内容以上の、より高度なプログラムを作って持ってくる生徒もいます。多くの生徒は、基本の情報や知識を応用して、例えばネット上にあるCSSを貼り付けて、中身を変えて工夫するなどの使い方をしますが、得意な生徒は、JavaやCSSも自分で創作していたりします。欲を言えば、その知識を友達にも伝えて共有してくれたら最高ですが、そういうタイプの生徒は、やっぱり自分でどんどん突き詰めて、創っていくことに喜びを感じています。

興味を持って主体的に!
「思考してから行動に移す」を大切にしてほしい

大学共通テストに「情報」が加わりましたが、受験となるとなかなか大変な課題だと思います。もちろん教師としては、生徒たちがより真剣にその単元と向き合うようになったことは大きなプラスだと思います。けれども、それ以上に情報という教科を通して伝えたいことは、主体的に興味関心を見つけて動くことの大切さです。

自分が学生の時、情報学部で「コンピューターは、一つのツールにすぎない!」と口を酸っぱくして言われてきました。今の生徒たちは、ともすると目の前の機器に動かされている時があります。AIや情報技術が発達しても、人間が主導できるように、適切な判断力を忘れずにいたいですね。そして、何事も考えずに「とりあえずやってみよう!」ではなく、まずはしっかり「思考してから行動に移す」ことができる人になってもらいたいと考えています。「失敗は成功のもと」とは言いますが、今の時代は昔と違い、何でも簡単過ぎるくらいチャレンジできてしまう世の中です。ですので、今の時代だからこそ「事前思考とシミュレーション」を大切にしてほしいと思っています。

最後に教科担当として生徒たちには、興味関心を自分から見つけてほしいと思います。提示されている選択肢から選ぶのではなく、興味から主体的に動いて、探して見つけ出してほしい。「みんながやってるから」とか「資格はとりあえず、取らないと損」とか、「右に倣え」ではなく「自ら選び取る」そういう人間になってほしいです。