是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』、ご覧になられた方はいらっしゃいますでしょうか？　是枝監督というと、特に『万引き家族』で2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドール（最高の賞）を受賞したことで知られていますが、現代の日本の映画作家の中でも、最も優れた監督であることは間違いありません。今なら、比較的大きな映画館でこの作品を観ることができます。
　私は、学生時代から就職してすぐぐらいの時期は、映画が大好きで、三越劇場のようなアート系の映画館に足しげく通っていました。ところが、その後、なぜか映画館から足が遠のき、映画を観るにしてもDVDで済ませてしまうことが多くなっていました。考えてみれば、映画を観るというのは、結構贅沢なことで、大阪市内の小屋まで出かけると、交通費がかかりますし、また入場料、さらには2時間程度の時間を小屋の中で過ごすという余裕も必要です。お金・時間・心の余裕がないと成り立たない楽しみなのですね。生徒の皆さんにも保護者の皆さまにも、たまには暗闇の中で過ごす時間を過ごしていただくというのはいかがでしょうか？