校長ブログ

校長 木内 淳詞 Junji Kiuchi

2022.05.31

『幸せについて』

 少し前に買った、谷川俊太郎さんの詩集。失礼ながらかなりのお年なのに、まだ新しい詩集が刊行されることへのリスペクトを感じざるを得ません。この詩集も過去の作品の編集版ではなく、書き下ろしなのです。
 谷川さんは、私が子供のころから詩人で、今も詩人です。年を取っても、(ひょっとすると年を取ったから余計に)柔らかな言葉を紡ぎ続けておられます。私などは、正直に言うと、詩は少し苦手でしたし、自分で詩を書くなんてとんでもない、という思いでいました。でも、たまに詩を読んでみたくなるんですよね。詩の言葉によって、自分の気持ちや日々の生活に対する姿勢が変わるような気がします。この本は、すべてのページに印象に残る言葉が記されています。私が特に気に入っている言葉だけ記しておきます。


 目の前にいなくても、その人がいると思うだけで幸せになれる、そんな「その人」がいるのは幸せだ。


 さっきは幸せだと思っていた、今はもう幸せじゃない、でも青空のもと輝く雪山を見たら気が変わった! 幸せが儚いとしたら、不幸せだって儚いのさ。


 長続きする幸せは平凡な幸せだ、言葉を代えるとドラマチックな幸せは長続きしないからこそ濃い。幸せが毎日の暮らしの低音部を担っていて、幸せだっていうことにも気づかないくらいの、BGMみたいな幸せが、一番確実な幸せかもしれない。


 どの言葉も素敵ですね。興味をお持ちでしたら、お読みいただいて、あなたの心にしみる言葉を見つけてみてください。